KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年8月号
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てきた怪談ナイトなのではないか…。今回披露する恐ろしい怪談の真相について、まるで子供や孫に優しく教えてくれるような稲川さんの柔和な表情を見ていてふとそう感じた。「ところで、さっきの30年前の事件の話ですがね…まだ、続きがありましてね」怪談ナイトの新作の話は、まだ終わっていなかった。「絶対に、誰にも話しちゃだめですからね…」そう言いながら語る怪談を聞いているうちに、しだいに身体が震えはじめた。「幼いころ母が私や兄弟、近所の子供たちを家に集めて、よく怪談を話してくれていたんです。母は歴史も好きで講談のようでした。それを聞きながら私は育ちました。だから自然と小学生の頃から私は友だちの前で怪談を話していたんですよ」そんな母が91歳で亡くなった直後。「母の形見の財布の中に、小さな紙切れがきれいに折りたたんで入っていたんです」折りたたまれた紙を広げると、それは新聞の記事だった。「私の活躍について新聞記者が初めて書いてくれた記事でした。母はそれをずっと大切にしまっていたんです…」大好きな母との大切な思い出…。今も母と自分を結び付けるもの。その一つが怪談なのかもしれない。「田舎のおじいちゃんに会いに来るつもりで怪談を聞きに来てほしい」そう語る稲川さん自身にとって、毎年、母と会う大切な場。それが30年以上続けの前で新たな事件として現れてしまったんです…」30年以上、続けてきたからこそ辿り着いた怪談の新境地のようだ。今年、初めて封印が解かれ、その恐怖の全貌が明かされようとしている…。怪談の謎、解かれた封印…元々は工業デザイナーとして働いていたが、舞台のセットのデザインなどで演劇に関わっているうちに、舞台俳優の道へと誘われ、そこからラジオのDJ、そしてコメディアンへ…。あれよあれよという間に国民的人気タレントとなっていく。多忙を極める中、「怪談に専念したい」と決意したのは今から20年前だ。「55歳のときでした。周囲の反対を押し切り、すべてのレギュラー番組やドラマ出演を断り、怪談に全力を注ぐことにしたのです。生半可な気持ちで怪談の公演をしたくなかったですからね」と語る。この〝怪談の原点〟とは、どこにあるのか。『稲川淳二の怪談ナイト MYSTERY NIGHT TOUR 2023』7月8日(土)全国ツアースタート!◆大阪公演 日時: 8月24日(木)25日(金)18:30怪宴 8月26日(土)27日(日)15:00怪宴      会場:森ノ宮ピロティホール◆奈良公演 日時:10月14日(土)17:00怪宴      会場:なら100年会館 大ホール◆姫路公演 日時:10月15日(日)17:00怪宴      会場:アクリエひめじ中ホール◆神戸公演 日時:11月18日(土)15:00怪宴      会場:神戸朝日ホール24

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