世界でもっとも多く建材として使われる素材は土です。日本では「左官」が専門職として知られます。しかし、その技術は他国とは随分と異なります。壁を塗ることに特化して構造体としての壁を造るのではなく、非常に繊細で高度であることはあまり知られていません。竹中大工道具館の「和の伝統美」のコーナーには、土壁の展示品が三つあります。茶室前に数寄屋土壁、茶室内に投げスサ土壁の工程模型があり、左手に火かとうまど灯窓の土壁模型があります。数寄屋の土壁は、丸柱を使用するため、とても薄いのが特徴です。わずか4センチ弱ほどの厚さしかありません。木下地に1センチ5ミリほどつかうので、土の塗厚は片面で1センチ強しかありません。そのわずかな厚さで四層にも土を塗り重ねているのです。叡智の彼方へ第十一回土壁にみる左官の妙技上:常設展「和の伝統美」コーナー 茶室前に土壁工程、左に火灯窓付蛍壁左:土壁工程模型竹中大工道具館土のしらべ12
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