KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年7月号
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─医療現場にはどのようなメリットがありますか。西口 薬局では紙の処方箋の内容をコンピュータに入力する手間が省略できるため、より丁寧に患者さんに対応することができ、医師と薬剤師のコミュニケーションもより円滑になりますし、働き方の改善にも結びつくでしょう。また、重複投薬を防止することで、医療の質の向上はもちろん、薬の出し過ぎが抑えられて医療費削減にも役立つと思われます。─どれくらいの医療機関がオンライン処方箋に対応しているのでしょうか。西口 4月23日時点での厚労省のデータによると、対応できる調剤薬局は全国に3082軒で、およそ20軒に1軒です。一方、電子処方箋を発行する側は、病院は9、医科診療所は250、歯科診療所は11と、ほとんど導入されていません。の情報の利用への同意や、処方箋の種類の画面が出てきますので、選択してタッチすればOKです(図2)。過去の情報の利用に同意すると、それまでの患者さんのお薬情報を医師・歯科医師・薬剤師が参照することができ、複数の病院・診療所と薬局をまたぐ過去のお薬情報にもとづいた医療を受けられるようになります。─治療に必要な薬がちゃんと手に入りさえすれば、処方箋が紙でも電子でもあまり変わらないと思いますが…。西口 いえいえ、紙の処方箋を電子化するメリットは少なくないですよ。これまではお薬手帳を確認したり患者さんに質問したりして薬が重複しないように注意していましたが、お薬手帳にすべての処方内容が記載されてない場合や、患者さんが覚えていない場合もあり、一定の確率で見落とすことがありました。電子処方箋を利用することで重複投薬(同じ効き目の薬が重複して処方されること)や併用禁忌(飲み合わせが悪い薬が処方されること)を自動的にチェックできるので、より安心して薬が飲めて健康増進にもつながるでしょう。また、マイナポータルというオンラインサービスをスマートフォンやパソコンで利用すれば、処方されたお薬の内容をいつでも確認できます。─オンライン医療を受ける際にも便利かもしれませんね。西口 医師会としては、利便性のみを追求した粗悪なオンライン診療の推進には反対していますが、オンライン診療を受けた際、オンライン処方箋なら紙の処方箋を郵送やFAXしなくても薬を受け取ることができます。自宅でオンライン診療を受け、電子処方箋を使い、オンライン調剤薬局で処方とオンライン服薬指導を受けた後、宅配便ですぐに自宅にお薬が届くようになり、医療が自宅で完結して便利になるでしょうね。79

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