KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年7月号
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来園者を楽しませてくれた。恒例の波の大水槽前のコタツや、クリスマスシーズンのイルミネーションなど、毎年楽しみにしていた人も多かっただろう。須磨での66年の歳月は、親子にとどまらず、孫まで含めた3世代の思い出となり、心に強く刻まれている。閉園が決まってからのスマスイ閉園プロジェクトでは、やりたい夢を叶える企画や波の大水槽上部でのプロジェクションマッピング、営業時間の延長などで名残惜しむファンを楽しませてくれた。最後の営業日 5月31日。笑顔と感謝のスマスイラストデー。朝早くから多くの人が訪れ、午前9時の開園は10分前倒しされた(この日の来園者数は約7千人)。閉園セレモニーの第一部では、近くの若宮小学校児童らによる思い出の作文の朗読、鷹取中学校吹奏楽部による演奏など。第二部では、スマスイを支え続けてきたスタッフによる思い出トークショーやサンクスムービーを上映。そしてスタッフがチームごとに壇上にあがり「ありがとうございました」と会場いっぱいに集まったファンに頭を下げ、その都度大きな拍手が送られた。ステージから去るスタッフの表情は、今日を迎えた安堵の表情もあれば、はにかみながらの人、伏し目がちに去って行く人も。その心によぎるものに思いを巡らすほど目頭が熱くなる。締めくくる総支配人の中垣内さんは言葉を詰まらせながら「地域に根ざした水族園であり続けてきた積み重ねが今日に至っている。感謝の気持ちでいっぱい」と語る。「こちらこそ、ありがとう」この場にいた誰もが思い、言葉にし、横断幕を掲げ、涙ぐむ人もいた。セレモニーの最後は兵庫大学附属須磨ノ浦高等学校生徒らの演奏とダンス披露で大きな拍手に包まれた。閉園まで残り1時間、最後の時を迎えようとしていた。閉園。そして1年後へ園内は多くの人で、歩くのもひと苦労。グッズ売り場は大行列。うみがめのメロンパン74

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