KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年7月号
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「公演が終わって、夜、ホテルに戻るとアイデアなどを書き留めたノートを広げるんです。『もっと面白く演じるためには、どうすればいいだろうか?』と考えながら、公演に向けて準備をするんです」大阪松竹座記念公演の前、3月は東京の明治座創業150周年前月祭「大逆転!大江戸桜誉賑」の舞台で時代劇に挑んでいた。「今年は4つの舞台に立つんですよ。こんなに舞台が忙しい年は、これまででも初めてかもしれませんね」と振り返る。『シン・ワハハ』で挑む新境地「今年最後の舞台となる『シン・ワハハ』が正直、一番大変だと思っています。メンバーで共演するネタから、柴田理恵と私の二人によるネタ、そして私一人のネタ…。いずれも新作。メンバーみんなでアイデアを出し、稽古をし、本番ギリギリまでネタを仕上げていくんです」年記念「垣根の魔女」で主演を務め、全国をまわっていた。「座長の責任は重大で、絶対に穴を開けるわけにはいきません。40年以上、舞台に立ってきましたが、初めて大好きなお酒を断ちました」と打ち明け、こう続けた。「昔は舞台が終わった後、仲間と朝方までお酒を飲んで、そのまま舞台に上がるという生活を続けていましたが、もう年齢も年齢ですからね。健康第一で気を遣っています。冷たい飲料水も飲まないように、常温や白湯にして飲んでいます」と静かに笑った。昔から変わらぬ溌剌とした笑顔を見ていると若々しいままだが、今月、65歳を迎える。「睡眠時間は7時間はとるようにしています。メジャーリーグの大谷翔平さんも、睡眠時間は大事だと言っていますよね」舞台デビューから42年。以来、〝陽気なコメディエンヌ〟に徹してきた。だが、人に見せることのない顔がある。その一端はこんな素顔だ…。演出は「ワハハ」主宰の喰たべ・はじめ始。1984年の創設以来、「ワハハ」の全舞台の作・演出を手掛けてきた。1969年に放送が始まった人気お笑いバラエティ「巨泉・前武のゲバゲバ90分!」で放送作家としてデビュー以来、日本のお笑い界を草創期から支えてきた重鎮だ。「喰さんの求めるお笑いのハードルはいつも高い」と話す久本さんに「シン・ワハハ」の構想を少しだけ教えてもらった。シャンソン歌手、越路吹雪のヒット曲「ろくでなし」に乗せて、鼻に詰めた豆を観客に向けて吹き飛ばす〝客いじり〟の芸で知られる〝梅ちゃん〟こと梅垣義明は盟友の一人だが、「シン・ワハハ」の中で「2代目梅ちゃん選挙」が行われるという。「若手のメンバーから第2の梅ちゃんを選びます。でも2代目梅ちゃんになりたいという立候補者がいるのでしょうか?」と笑う。すると今の梅ちゃんはどうなるのか?25

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