KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年7月号
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美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。横尾忠則現代美術館にて「原郷の森」開催中(~8月27日)横尾忠則現代美術館いほど広かったが、やがてそこが母船の内部であることがわかった。すると前方から背の高い3人の宇宙人と思われる人が、まるでローラースケートに乗っているようにスーッと近づいてきた。見ると、西洋人風の男性2人と、小麦色の肌の女性3人で、男性も女性も驚くほどの美男美女で、身体にピッタリの白銀色の宇宙服を着ていたが、NASAの宇宙飛行士のようなゴテゴテした宇宙服ではなく、ダンサーのようなピタッとして身体にフィットしたシンプルな宇宙服を着用している。その内の1人が僕に話し掛けてきた。音声ではなく、僕の意識に直接話し掛けた。その時、これがテレパシーかと初めて知った。「初にお目にかかります。私達はあなたが想像するずっと以前、つまり生まれる以前から、あなたを観視し続けていたのです」僕は頭の中で「観視」という言葉にちょっとひっかかった。すると即座に僕の意識を読んで、「失礼しました。お見守りしていました」と言い直した。そして、「首の後ろにチップを入れさせてください。肉体ではなく、霊体に入れるので苦痛は与えません。このチップによって、私達とあなたがもっと親密にコンタクトを取るためで、もし、お嫌なら中止しますが、いかがでしょうか」と尋ねられた。僕は非常に興味があったので、即座に受け入れた。これが、彼らとの初会合で、その後は、常に僕の意識の中に、僕の行動に関与していることが理解できた。そして、このことは50年以上たった現在も、彼らの意識と共有している実感がある。まぁ、こんな体験にフィクションを交えて、この宇宙的ドキュメンタリーな小説を書いたわけである。『横尾忠則 原郷の森』会場風景1919

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