品について、各々が持つ視点から好きに語っては消えていく。何がテーマでどこに向かっているのかすぐには掴めないような会話が延々と続くかのようだが、全編を通して見ると壮大な横尾論が浮かび上がってくる。当館2階の展示では、文字だけで表された小説の世界観を象徴的に表すことを試みる。木に見立てたいくつかの柱と、木漏れ日のような照明によって森を模した空間内に、関連する横尾作品と小説から抽出したセリフを無作為に配置する。隣り合う作品の間には、一見すると主題もテーマも技法にも共通点を見出すことができず、まさに種々雑多な「森」を体感することになるだろう。だがその中を歩き回り、作品から作品へと目を移していくうちに、いつしかそれらが思わぬ点で紐づけされていることに気づくかもしれな1717
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