脳の健康が損なわれると、体のいろいろな場所に症状が出て生活に支障を来すだけでなく、命にも関わります。脳にはどんな病気があり、脳神経外科ではどんな治療が行われているのでしょうか。篠山隆司先生にお聞きしました。―脳神経外科の領域は?主に頭蓋内の病気を扱い、大きく分けると脳血管障害と脳腫瘍、さらに事故などによる外傷、てんかん発作など機能障害、小児の脳疾患、脊髄脊椎疾患があります。脳神経内科をはじめ循環器内科、放射線科、小児科、麻酔科、病理部、救急部など、様々な診療科と連携しながら治療に当たっています。また少し特殊ですが、末梢神経に関わる疾患も対象になることがあり外科的治療をおこなっています。―脳血管障害とは?一般的に「脳卒中」といわれ約7割を占めるのが脳梗塞です。年齢とともに動脈硬化が進み内壁にプラークが出来て血管が細くなったり、心臓から血栓が流れてきたりして脳の血管が詰まります。虚血状態になり酸素や糖分のような栄養が十分に運ばれなくなると脳内の神経が損なわれます。動脈瘤は血管の一部が弱くなりこぶのように膨らみ、破裂するとくも膜下出血を起こします。―脳神経外科での治療法は?開頭手術とカテーテル手術がありますが、心臓の治療と同様に腕や足の付け根からカテーテルを入れる血管内治療がかなり進んでいます。しかし周りをしっかり囲まれている心臓の血管と違って、脳の血管は頭蓋内でむき出しになっている状態ですから幾分脆弱です。いろいろな治療ができるようになってきたとはいえ、脳血管を損傷すると重篤なくも膜下出血につながるリスクがあり、非常に高度な技術が必要です。最近は巨大な脳動脈瘤もカテーテルで治療できるようになりました。―開頭手術と血管内治療はどう使い分けるのですか。基本的には病変の部位によって神大病院の魅力はココだ!Vol.21神戸大学医学部附属病院脳神経外科篠山 隆司先生に聞きました。98
元のページ ../index.html#98