KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
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医療データも把握可能となるようです。また、医療機関等のデジタル化が促進され効率的な働き方が実現したり、医療情報システムに関与する人材を有効に活用し費用が低減されたりするほか、医療や健康に関するデータを二次利用して医薬産業やヘルスケア産業を振興して国民の健康寿命を延伸するのだそうです。そのために①「全国医療情報プラットフォーム」(図1)の創設、②電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普変わることをいいます。デジタライゼーションとは、レコードやCDというメディアを店で購入して聴いていたのが、デジタル化された曲をダウンロード購入したり、ストリーミング配信される曲を聴いたりというように、デジタル化されることでビジネスの形態が変わることを指します。そして、DXは、そのステップを経て社会制度や組織文化などを変革していくことだとされています。─では、医療分野でのDXとはどのようなものなのでしょう。西口 2022年5月に自由民主党政務調査会は「医療DX令和ビジョン2030」と題し、医療のDX化・医療情報の有効利用を推進するための提言をおこない、政府は同年6月に「骨太の方針2022」を閣議決定するとともに、医療については首相を本部長とする「医療DX推進本部」を設置して医療のDX化を強力に推進する方針を打ち出しました。厚生労働省は医療DXを「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義しています。─具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。西口 全国の医療機関等がオンラインネットワーク上で診療情報を共有することで、全国どの医療機関等にかかっても必要な情報が得られ、誕生から現在までの生涯にわたる病歴のほか、ワクチン接種歴やアレルギー歴などの保健写真提供:寄稿者/©shutterstock95

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