KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
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すいご提案をしていく、という点も普及には大切なところかと思います。今年、「技術経営・イノベーション大賞」選考委員特別賞と「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞を受賞されました。非常に嬉しいというのが率直な気持ちです。やはり開発というのは非常に長い年月がかかります。元々、2015年にスタートして、5年間かけて開発してきたというのもあって、製品化するまで非常に苦労の連続でした。そういう、開発チームが苦労を重ねて、壁を乗り越えてきたところで、自分たちの技術力であるとか、自分たちの製品が世の中に認められてこういった賞をいただけると、モチベーションが上がり、次の製品開発に挑もうという気になります。東京‐神戸間(約500㎞)で商用の5Gを活用した、遠隔地からロボット手術を支援する実証実験に成功されました。実証実験を行って、先生方からすると、もうこれはすぐ使えるなというようなイメージをお持ちでした。中でも特に、遠隔で手術したいというよりは、遠隔地の若手の先生方へのサポート、教育に使いたいというニーズがあり、早く実用化して欲しいというご意見をたくさん頂きました。ただ一方で、安全性の確保が必要です。例えば、通信が途切れた場合でも安全に手術が継続できるような環境になっているのかというのも大事ですし、後は、いわゆる通信の揺らぎや遅延が起こったときに、システムとして安全に動作しますか、というところの技術開発やサイバーセキュリティといったところも含めて、技術的な課題はまだまだあるな、と思います。手術支援ロボットがもたらす医療の未来についてお伺いします。手術支援ロボット以外にも色々な医療ロボットがありますが、患者さんのためというのが一番ですよね。負担の少ない治療で患者さんのQOLを向上させるというところが一番大きな目的かと思っています。我々が提供するロボットは、あくまでツールで、治療するのは先生方です。そのため、いかに先生方が使いやすくかつ安全に使用できるかというのが重要だと考えています。最終的にはロボットが自動的に手術ができるようになるのではという話もありますが、医師の技術レベルまで行きつくことはないと思っています。我々としては、まずは定型化された一部の手技を自動化し、より専門的な知識を要する作業に集中していただける環境をつくるというところを目指したいと考えております。患者さんのQOLを向上させ、生存率を上げたい41

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