KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
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「hinotori」は、国産初の手術支援ロボットということですが、国産ならではのアドバンテージはありますか?開発まで2年間ほどマーケティング活動を行ったのですが、そこで分かったのは、海外製品の場合メーカーに日本の先生方の声が届きにくいという課題でした。日本の医師は世界的に見てもレベルが高く、精緻で非常に丁寧な手術手技を持っていらっしゃいます。これが、海外製の医療機器にはなかなか反映されていかない状況でしたので、我々は、そういった先生方の声をお聞きして製品に反映する、ということをコンセプトにしております。開発は完了し、既に上市していますが、いまも随時、意見を取り入れて改良を進めています。今後、海外へ展開していきますが、日本の先生方の意見をしっかり取り入れた製品が、いかに海外で受け入れてもらえるかというのが重要な医療機器と産業用ロボットという異業種のタッグですが。会社の文化も異なる2社が手を組んだわけですが、当時の両親会社のトップも、新たな事業領域に入っていくことを応援してくれていました。本来、接点のない両社が協力して新しい事業領域にチャレンジするということは、ビジネスとしても非常に意義があることだと思っています。「hinotori」というネーミングの由来は?手塚治虫先生の『火の鳥』から使わせて頂きました。火の鳥は作中で、永遠の命を与える存在として描かれています。我々のロボットも手術を通して患者さんの命と関わっていくものとして、コンセプトが非常にリンクしていると感じ、「hinotori」としたいと考えておりました。ちなみに、創業した橋本と浅野が手塚治虫先生のファンということもあり、実際に手塚プロへ、ぜひお名前を使わせて頂きたいと二人で訪ねたそうです。その時にご息女のるみ子さんより、手塚先生が医師免許を持った漫画家であり、医療を題材にした作品やロボットが登場する作品も多く残されているというところで、弊社の医療・ロボットに対する思いに共感を頂いて、正式に名前を使わせて頂くことになりました。初めての臨床は、宗藤社長も立ち会ったそうですね。2020年の12月14日、忘れもしません。「hinotori」は2015年から開発をスタートしたわけですが、その間、臓器を模したモデルを使った評価などは幾度となく実施してきましたが、人の命がかかった手術に実際に使用されるのは初めてでしたので非常に緊張する一日でした。当日は、私は別室で手術室の様子を見ていたのですが、終わった瞬間、安堵しましたし、開発メンバーとも喜び合いました。先生方の声をお聞きして製品に反映する38

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