KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
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も話さないと0点(笑)。音楽は「伝える」ものだということ、「伝える」ことの大切さを知りました。それと、実技はめちゃくちゃ厳しくて練習しないと退学になるので必死でした。周りも必死なので、仲間の存在は励みになりました。Q 友だちはたくさんできましたか?音楽家には音楽家へのリスペクトがあるから、友だちっていうよりもっと深い関係というか、戦友っていうのかな。学校だけでなく、国際コンクールで出会った友だちもいるし、生涯通じて付き合っていくことになるんだろうなと思う人がいろんな国にいる。皆、いい関係です。話したことはないけど 、“音” はよく知ってるなんてことも普通にあって…。それは音大生だからこそでしょうね。Q のだめちゃんの恋のはじまりもそんな感じでしたね。“音” に惹かれるのはわかります。先に“音” を好きになって、そこから恋に発展するのもわかります。顔も見てないのに変ですよね(笑)。でも、音には性格とか人柄が出ちゃうから、おかしなことではないと思います。そのくらい音は大事です。いい再現でしたね、千秋先輩。Q 卒業してからもそのままウィーンにお住まいですね。ウィーンが好きなんです。この街からまだまだいろんなことを吸収したいと思って、留まることを決めました。いい音を奏でるために住んでいたい街、という感じです。この先はわからないけれど、できればずっと行き来したい。Q 海外で多くのストリートピアノで演奏していますね。ウィーンに住んだことと、この数年の非常事態で、だいぶ考え方が変わりました。クラシック音楽がホールでしか聴けないのはもったいない。ピア”TAKU-音 TV たくおん”YouTubeチャンネルでクラシックをより身近にノがあって、聴いてくれる人がいるなら僕は弾こう。そう思うようになりました。海外のストリートピアノはコンディションがいいとは限らなくて、調律をしてなかったり、ひどい時は、鍵盤はあるけど弦がなくて音が出ないなんてこともありました。レとファが出ない!とかね(笑)。でも、重要なのは何かを考えた結果、いい曲を知ってもらうのに、調律は重要ではないし、出ない音を使わない曲を探したらいい。挑戦しよう!という答えが出ました。Q 「クラシックをより身近に」動画配信にそのお気持ちが見えます。美味しいケーキはどこで食べても美味しいでしょ。洋菓子だから椅子に座って食べなければいけないわけではない。畳に正座して食べても味は変わらず美味しいわけです。そんなところを意識しています。美味しいものは美味しい。いい音楽はどこで聴いてもいいはず。あとは聴く人が判断してくれたらいいと34

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