KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
25/136

サーで、美術監督も務めた原田満生さんとは30年来の盟友だ。1991年に公開された「王手」を監督したとき。美術スタッフとして現場に参加していたのが原田さんだった。以来、度々、同じ撮影現場で顔を突は通常はしませんよね。だから脚本を書く作業も大変でしたよ」と正直に語ってくれた。〝戦友〟たちとともに 今作を企画したプロデューき合わせてきた仲。阪本監督は「戦友みたいな存在」と言う。数年前、原田さんが大病を患った。2019年12月。病気から復帰した原田さんを励まそうと、阪本監督は京都旅行へ誘った。京都周辺の寺社仏閣などをまわった後、二人の足は、自然と太秦の撮影所へ向かっていた。「太秦撮影所の中を歩きながら、彼がこう言ったんです。『短編でもいいから、こういうところで映画を撮りたいな』と…」そして、企画書を見せてくれた。そこにはサステナビリティ(持続可能)や、サーキュラエコノミー(循環経済)など環境問題をテーマにした映画の企画が書かれていたという。 「自分には環境問題とか啓蒙的な映画は撮れないよ、と最初は思ったのですが、その中に江戸時代のこんな事例が書きこまれていたんです」それは江戸の末期。畑に人の糞尿を撒いて野菜を育て、それを人が食べ、再び糞尿にな25

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る