KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
18/136

います。今後も、二度、三度の「危機一髪」に遭遇されるかもしれませんが、その都度、再び底力を発揮して、第1回の「危機一髪」を凌駕する傑作展を期待したいところであります。さて、5月27日(土)にオープンする展覧会では、僕の小説の題名「原郷の森」展が開催されます。この展覧会については、来月号の本誌で触れたいと思いますが、担当の小野尚子さんのキュレイション展覧会で、展覧会には最も難しいテーマではないかと思います。5月26日の記者会見とオープニングには、久しぶりに帰神して出席の予定でおります。この展覧会は学芸員の力量が発揮されるというか、試される難しい展覧会に挑戦されたものだと僕は今から楽しみにしています。開会と同時に拙著「原郷の森」(文藝春秋)がミュージアムショップで販売されますが、この本の装幀や、本展覧会のポスターが、ボーダーシャテーマ性のない展覧会ゆえに、個々の作品との対話が生み出され、結果的に作品本位の展示となったことも収穫であったと、担当学芸員の平林さんは、そうおっしゃって気を得たそうである。予定調和を廃したプロセスであったが、選択作品があらゆる年代を網羅しており、思いがけず、僕の画業を通覧する機会となったらしい。また、「Curators in Panic ~横尾忠則展 学芸員危機一髪」会場風景18

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る