神社や寺院を扱う堂どうみや宮大工は巨大な木材で重厚な建物をつくりあげますが、反対に細い木材を用いて茶室などの軽やかな建物をつくる大工を数すきや寄屋大工といいます。竹中大工道具館の地下2階には数寄屋大工の仕事を紹介すべく京都大徳寺の名茶室・蓑さ庵あんを写した実物大スケルトン模型を展示しています。この模型で注目してほしい箇所が二つあります。一つは細い柱でも風雪や地震に耐えられるよう壁の中に貫ぬきと呼ばれる構造材を縦横に通していること。場所によっては板のパネルを差し込んでおり、ガッチリと固められています。この木組みはそのままでは無骨ですが、仕上げに土壁を塗ってしまうと隠れてしまいます。もう一つは自然のままの形を残した杉丸太を用いているこ叡智の彼方へ第九回自然の造形を活かす大徳寺玉林院蓑さ庵あん構造模型右:丸太が三方向から組み合う捻組(ねじぐみ)上:杉丸太の接合部を丸鑿で刻む竹中大工道具館14
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