KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年6月号
105/136

KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』(2021年 ドイツ・ジョージア 150分)  監督・脚本:アレクサンドレ・コベリゼ 出演: ギオルギ・アンブロラゼ、オリコ・バルバカゼ、 ギオルギ・ボチョリシヴィリ、アニ・カルセラゼ、 ヴァフタング・パンチュリゼ配給:JAIHO元町映画館にて6月3日(土)より2週間上映。© DFFB, Sakdoc Film, New Matter Films, rbb, Alexandre Koberidze風がささやき、草木や色とりどりの花たちが道ゆく人々を見守る。舞台は古代から続く穏やかな時間が流れるジョージアの古都クタイシ。呪いのため姿を変えられ、得意なことを奪われた運命の男女の恋物語は、ふたりがお互いに気づくまでの時間を鳥の目で映しだす。学校帰りに歓声をあげる子どもたち、劇場裏のテレビでワールドカップ観戦に興じる人々や犬。そんな幸せそうな街の人の光景を観ていると、呪いのことを忘れて、日々生きることの歓びや尊さが胸に沁みる。全編が詩のような物語に、映画の力を信じたアレクサンドレ・コベリゼ監督の静かな情熱がみなぎるのだ。ハープをはじめとするアコースティックで時には刺激的な映画音楽とバストーンの語りが、観客へ魔法をかけるのに一役買っていた。クタイシの魔法にかけられてジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう上映スケジュールはコチラ▶音楽好きな制作チームの何年にもわたる熱意が叶ったこの作品は、多くのシーンをオペラ座で撮影している。豪華絢爛を目にしながらオペラを聴く贅沢。流れるのは、誰もがどこかで耳にしたことがある曲ばかり。それだけでも「映画館で観てよかった」ときっと思う。面白いのは、主人公がラッパーという、クラシックとは “別世界” に住んでるところ。のはずが、彼はオペラに素直に感動し、彼のヘッドフォンからはラップもクラシックも流れ出す。師となるオペラ教師も、これまで縁のなかったラップを聴き体を揺らす。ごく自然に認め合う2人に “別世界” は存在しない。でも…人生はそんなにうまくはいかない。問題は山積み。そんなコントラストを美しいと感じ、今作品のテーマにしたと話す監督は、『マンマ・ミーア ! ヒア・ウィ・ゴー』『エミリー、パリへ行く』の製作者。心晴れる楽しさに納得!「住む世界」は自分で決める ! 『テノール!人生はハーモニー』(原題:TENOR)(2022年 フランス 101分)監督:クロード・ジディ・Jr.脚本:シリル・ドルー、ラファエル・ベノリエル、  クロード・ジディ・Jr.出演:MB14、ミシェル・ラロック、  ギョーム・デュエム配給:ギャガシネ・リーブル神戸にて6月9日(金)公開。© 2021 FIRSTEP - DARKA MOVIES - STUDIOCANAL - C8 FILMSテノール ! 人生はハーモニーtext.田中奈都子text.江口由美上映スケジュールはコチラ▶105

元のページ  ../index.html#105

このブックを見る