KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
85/124

KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜『響け!情熱のムリダンガム』“Sarvam Thaala Mayam”(2018年 インド 132分) 監督:ラージーヴ・メーナン 音楽監督:A.R.ラフマーン(『スラムドッグ$ミリオネア』)出演: G・V・プラカーシュ・クマール、ネドゥムディ・ヴェーヌ、 アパルナー・バーラムラリ、ヴィニート 配給:テンドラル元町映画館にて5月6日(土)より2週間上映。※5/14上映後に本作配給・稲垣紀子さんによる舞台挨拶開催等予定。詳しくは公式サイトまで。© Mindscreen Cinemas好きの力は生きる活力になる。映画スター・ヴィジャイに夢中な主人公、ピーターは、冒頭からヴィジャイ新作映画の初日初回に、ファンクラブのメンバーとお祭り騒ぎ!さらに楽器職人の父が作った打楽器、ムリダンガムを南インド伝統音楽の巨匠アイヤルへ届けたとき、彼の生演奏に感激し、ムリダンガム奏者を目指す決意をするのだ。アイヤルに弟子入りを懇願するピーターの前に立ちふさがる現実。なんとかそれを乗り越えても、さらなる試練が訪れる。ライブシーンや師弟愛だけでなく、カーストによる差別、継承と革新の間で揺れる巨匠の苦悩と、伝統音楽/楽器を切り口に多様な問題を織り込んだ青春音楽映画。本作に惚れ込んだ東京の南インド料理店が個人配給し、好きの力が数珠繋ぎなのも胸アツだ。原動力は「好きの力」響け!情熱のムリダンガム上映スケジュールはコチラ▶「私の中にある意地悪で邪悪な部分を全部投入した」と荻上直子監督が話すこの作品。極悪人が出てくるわけではない。むしろ質素に真面目に生きる人たちの物語。真面目に生きていても天災は起こり、人は患い、老いる。その時々で生じる問題にどう向き合うか、選ぶ道は人それぞれ。表向きは世間で正しいとされる選択をしながら、同時に“逃げる”選択もしてしまった主人公依子に、監督は日本女性の生きづらさを描いたと話す。自分と重ねて観る女性も多いかもしれない。出演は筒井真理子、光石研、柄本明、キムラ緑子、木野花、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙ほか、“何かが起こる”ことを期待させる顔ぶれ。一人ひとりの小さな邪悪が、期待通り笑えて、期待通りちょっと怖い。絶望が笑えるエンターテインメント!『波紋』(2023年 日本 120分)監督・脚本:荻上直子出演:筒井真理子、光石研、磯村勇斗、  安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、  津田絵理奈、花王おさむ、柄本明、  木野花、キムラ緑子配給:ショウゲート シネ・リーブル神戸にて5月26日(金)公開。© 2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ波紋text.田中奈都子text.江口由美上映スケジュールはコチラ▶85

元のページ  ../index.html#85

このブックを見る