KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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科の患者さんにとって恵まれた環境です。ところが小さいときからのお付き合いですから患者さんにとって小児科は居心地がいいし、私たちもずっと見守ってあげたいと思ってしまいます。小児科医がちょっと優し過ぎるかもしれませんね(笑)。―保護者の方に接するに当たって心掛けておられることは?ご両親から「うちの子はどうしてこんな病気になったのでしょう」と質問されます。生活習慣など原因がはっきりしていることが多い大人とはちがって、子ども自身は何の原因も作っていません。遺伝的要因の関与が大きいといっても、すごくたくさんある遺伝子の中で偶然起きたことですから誰にも責任はありません。大切なことは、子どもさんがどういう状態なのか、どんな治療法があるのかを時間をかけてきちんとご両親にわかりやすく説明することだと思っています。野津先生にしつもんQ.野津先生ご自身のストレス解消法は?A.うーん、私はストレスを感じることがなくて…残念ながら皆さんの参考になるような解消法はご紹介できないんです(笑)。もちろん、いやなことや辛いこともありますが引きずらないですね。これも持って生まれたものでしょうか。Q.大学で学生さんを指導するにあたって心掛けておられることは?A.とにかく、分かりやすく。学生のころ、分かりにくい先生の授業はとてもつまらなくて、退屈でしたからね。何が問題で、学生にとってどこが分かりにくいのかを常に検証しながら、そこをどう分からせるかを考えて授業を進めるようにしています。Q.日頃から心掛けておられることは。A.常に明るく、ポジティブに!といっても心掛けているわけではなく、持って生まれたポジティブで、なぜ人はネガティブになるのか?理由が分からないんです(笑)。患者さんに対してもポジティブに接すると治療も順調に進みます。ネガティブに接する場合と全く違いますからね。Q.どんなところに魅力を感じて小児科医に?A.一番の理由は、子どもたちは何をやってもかわいい。大人の病気の治療はいろいろな要因が絡んで複雑ですが、子どもさんの病気はとても純粋です。子どもたちの病気を治してあげたいという思いで小児科を選択しました。最近では今まで治せなかった病気も治療法が進歩して治してあげられるようになり、やりがいを感じています。Q.野津先生が医学の道を志されたきっかけは?なぜ小児科医に?A.特別なきっかけはなくて、父親が精神科医でしたので自分もお医者さんになると思っていました。でも医学部に進んでから、精神科の病気は何だかモヤっとしていて私には向かないなと思い、小児科に魅力を感じ小児科医になりました。79

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