KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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た。場所によってアンジュレーション(うねり)がありますから、すぐ曲がってしまうのです。しかもチーム競技です。難しい作戦を立てることもキャプテンの仕事ですからね。試合のシーンも度々登場し、頭脳プレーが炸裂していましたね。大変な撮影でした。なにせ、ロケで貸していただく競技場が全部遠方にあり、僕も含めてチームのメンバーが、自宅からそれぞれ片道100キロぐらいを運転して競技場に向かうんですよ。菊男役の石倉さんと「運転だけでも自分を褒めてやりたいよ」と(笑)同級生役の石倉さん、大門さん、森次さん、小倉さんと5人でチームを組んでの撮影はいかがでしたか? みんなよくしゃべるし、声も大きいので盛り上がりますよ。趣味の話だと小倉さんは俳句が非常にお上手ですし、石倉さんは料理が得意だということでそんな話も聞きましたし、撮影現場でこんなことがあったとか。まさに話の花盛りで、みんな元気です。ラグビー部でマネージャーだったさくらを演じた山口果林さんとは初共演とのことですが、桃次郎とふたりのシーンが物語の鍵となります。試写の時に、果林さんとの最後のシーンがうまくいったなと思いました。そこまでのシーンがうまくいっていないと、説得力がなく浮いてしまいかねないので、そう思えたということはそこまでがちゃんとできているのでしょう。先日、果林さんと対談する機会があったのですが、さくらが「走れー!死ぬまで走れー!」と叫ぶシーンで、野田監督から「高校時代のテンションでやってください」と演出されたそうです。痛い足をこらえて走ったり、どれも全力を尽くす果林さんが素敵だなと思いましたね。さくらが認知症を患っていたことを知った桃次郎が、その言動をどう受け入れるのか。演じる上でもさじ加減が難しかったのでは?認知症の症状が出たさくらの世界に、桃次郎が入ってしまおうと思ったのです。さくらが共に過ごした青春時代へ飛んだら、そこに自分も飛び込み、決してその言動を否定しないようにしました。人間の知能は遅かれ早かれ衰えていくわけで、自分がそうなったときのことを考えると、相手がどういう態度を取ってくれれば傷つかないですむかが想像できます。さくらと一緒に高校時認知症を患うさくらの世界に飛び込む28

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