KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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ゲートボールを題材に、シニアが活躍するスポ根コメディですが、オファーされたときの心境は? 喜劇というのはけっこう難しいという印象がありますし、あまりやったことがないので、最初は僕にできるのかなと思いました。でも脚本を読むと、別に笑わせることをしないけど、桃次郎という男をきちんと演じれば、自然におもしろく見えるように全体が作られていたんです。ちょうどコロナ下の2年目で。友達と一緒に食事したり、お花見に行ったり、バーベキューをする仲間とも、自粛して連絡をしなくなってしまい、いろいろ鬱陶しいと思っていた時期にこの作品の話が来たので、こんな風に友達とワイワイして、突き抜けている部分もあるのが楽しそうでいいなと感じましたね。どんな出来になるのかと思っていましたが、試写でみんながおもしろいと言ってくれたので、じゃあ成功したのかなと。息子夫婦と同居しながらカレー屋を営む桃次郎の役作りについて教えてください。基本的に僕は、自分で演じる人物の略歴を書くのですが、今回は野田監督が書いてくれたので演じやすかったですね。桃次郎は、脱サラして妻とカレー屋を開いたんですよ。実は近所にポパイというカレー屋があり、そこが町内の仲間たちとの溜まり場になって、おじいさん、おばあさんからその子どもたち、孫たちを含めて交流していたんです。そのマスターも脱サラでお店をはじめており、桃次郎と年齢が近いこともあって役作りの参考にしていたのですが、残念ながらコロナ下にお店を閉めてしまわれた。せめて映画の中でその面影を遺せたらという想いも少しありました。高校時代にラグビー部のキャプテンだった桃次郎ですが、常にビシッとした姿勢で演じていましたね。計画的にそうしようとやったのではなく、桃次郎として体が自然に動いたんでしょうね。現場に入ると、わたしは桃次郎に体を貸しているだけですから。きっと桃次郎はそのように立ちたかったのではないでしょうか。ゲートボールは初めてとのことですが、練習を積んだのですか?現場で自分が映っていないとき、みんな必死で練習していましたね。ボールがゲートを通ると気持ちがいいんですよ。でも最初はなかなかゲートを通らなくて、何度もNGを出しましコロナ下で感じた鬱陶しさと、友達と寄り合う楽しさモデルは思い出のカレー屋、ポパイのマスター遠征が大変だった試合シーン27

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