KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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「何もしなければ途絶える可能性はある。海外のクリエーターたちとの、スマホを使ったタテヨミ漫画やNFTの販売など…。新たな企画、構想を進めていきたい…」プロデューサーとして、そして長女として。手塚作品を未来へと伝える模索は、まだまだ続く。くれた。「父たち、数多くの作品を発表してきた漫画家が遺した膨大な原稿などの保存と管理、そして展示…。そのあり方には答えがなく、家族にとっては大きな課題なんです」さいとう・たかを、水島新司、藤子不二雄A…。近年、一時代を築いた漫画家たちが次々と亡くなっている。その方法を模索するためにも、「コロナ禍で、しばらく開けていない『二世会』を再開しないといけない」と話す。今年は手塚の代表作の一つ『火の鳥』や、浦沢直樹が『鉄腕アトム』をリメークした『PLUTO』がアニメ化され、世界配信される予定だ。「父の漫画を読んだことのない世代へ伝えるためにも、従来の紙の漫画にこだわらず、時代に応じ、形態を変えながら、手塚作品を継承していく方法を考えていきたいと思っています」手塚が亡くなる前。「誰も読まなくなるかもしれない」という懸念は杞憂だった。ただ、いう分析も興味深かった。伝承者としての覚悟「父は生前、自分が亡くなっても3年は内緒にしておけ。よく、そう家族に言っていたようです。父は自分が亡くなったら、誰も自分の漫画を読まなくなる。それをとても恐れていました。もう新作が出ないのですから。だから、家族も父と同じ思いだったんですよ」と打ち明ける。だが、「だからこそ、父の死後、強くこう覚悟した」とも。「作品を知らない世代の人たちにも、手塚作品の魅力を伝えなければ…。それが私の使命だと強く思ったんです」偉大な漫画家を親に持つ子供たちは誇らしさと同時に、親の持つ強烈なイメージの圧力に苦しみ葛藤を抱えながら育つという。「赤塚不二夫さんの娘、りえ子さん、水木しげるさんの娘、悦子さんたちとともに『二世会』というのを結成し、定期的に会っているんですよ」教えて24

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