KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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構造の考え方もずいぶんと違います。日本では柱や梁などの軸組を基にしますが、ドイツでは壁を一面ずつ造り、まるで折紙で箱を構成するかのように組み上げます。そして、木と木の間に石や煉瓦、土を詰めて壁をつくるのです。ドイツの中でもシュヴァーベン地方やニーダー・ザクセン地方、フランケン地方では、柱梁と斜材の筋違を合理的で美しいデザインに組合せて高層化した大型の建築を造る例が多く、大工技術もたいへん高い地域です。竹中大工道具館では、シュヴァーベン地方の代表作であるエスリンゲン市庁舎の部分模型を展示しています。ドイツ人大工の手によるもので、木材は本物と同じホワイト・オーク(こなら)を使用しています。たいへん堅い木ですが、すべて斧で製材・加工しています。一見荒々しく見えますが、木の繊維を切断しないので、耐水性がよくなります。それぞれの土地と木に合わせた大工の知恵が生きているのです。(主任学芸員・西山マルセーロ)神戸市中央区熊内町7-5-1Tel.078-242-0216休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)https://www.dougukan.jp/ エスリンゲン市庁舎南側木造部分(16世紀)左:ドイツの大工道具右:壁部分模型(縮尺2/3)TAKENAKA CARPENTRY TOOLS MUSEUM竹中大工道具館13

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