KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年5月号
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独創的な感性で存在感を放つ高山荘華野に、銀泉の浴室を備えた新しい部屋がお目見えした。伝説の数寄屋大工の技を継承する中村外二工務店が2022年に手がけた客室「双葉葵」の美学と感性を踏襲しつつ、カジュアルな佇まいに仕上がっている。春を告げる純白の花の如く、美しい空間は、「大人の隠れ宿」に相応しい新しいスイート・ルーム「八角蓮」である。ドアを開ければ、手前から奥へと、天井のタモのまっすぐな木目が奥行きを感じさせる。左へ視線を向けると、なげいれの草花が季節を語り、さり気なく一幅のアートが飾られている。作者はヴェネツィア生まれで現在は京都を拠点に活動している30代の若きアーティスト、アンジュ・ミケーレ。銀紙に、若葉色で描かれた柔和なラインは、心を解きほぐし、想像力をかき立てる。前室の右手には、ミニバーが、奥には書斎があり、静かに読書に耽るもよし、ワーケーションで利用するもよし。書斎左手にはウォークインクロゼットを配する心配り。荷物が多くなりがちな滞在でも、ここに収納すれば居室に床置きする必要もなく、広い部屋をより広く使える。ミニバー、書斎、ウォークインクロゼットはいずれも中村外二工務店の施工で、しつらえも見事で使い勝手も良い。ベッドルームはシンプルでありながら、上品さを感じさせる。白い壁と天井が心に落ち着きを与え、ナラの無垢材は素足で歩いても心地良い。目を惹くのはどっしりとしたキングサ103

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