KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年4月号
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演していただいた高岡先生、地元選出の衆議院議員の中野洋昌さん、尼崎中央病院理事長の吉田純一先生、兵庫県医師会会長の八田昌樹先生をシンポジストにお迎えし、マイナカードやマイナ保険証に関する心配事や、便利になることなどをうかがいました。─マイナ保険証は実際に普及しているのでしょうか。内藤 八田先生のお話ではマイナ保険証のカードリーダーを体温計と間違える人が多いそうで、特に高齢者はタッチパネルに慣れておらずマイナカードをつくるのも億劫になっていること、2023年4月までにオンライン資格確認等システムが原則義務づけられたが半導体不足で必要な機器が入手困難であることを指摘されました。吉田先生によれば、兵庫県はマイナカードの取得率は高いがマイナ保険証の使用率は低ると、医療情報が医師に提供されるため、どこでどんな治療を受けどの薬を処方されてきたかが医師へ正確に伝わり、マイナポータルの活用で自宅などから健診のデータや予防接種の情報が確認できるなど、便利で無駄が省けるというメリットがあるとのことでした。また、情報管理については病院を「銀行」、患者情報を「預金」に置き換え、個人情報は患者の物で病院にとっては預かり資産であり、治療による「利益還元」を期待して個人情報を預けるという関係にあると解説され、今後マイナ保険証が浸透するとビッグデータに基づく医療や健康の有効な対策がエビデンスとして取得でき、充実した健康長寿の人生に繋がるのではないかという展望を示されました。─第2部のシンポジウムは先生が司会を務められたそうですね。内藤 はい、私と中川純一先生の司会で、第1部で講く、尼崎中央病院では1日あたりの外来患者500〜600人のうちマイナ保険証の利用は2桁に満たない日があるとのことでした。中野さんからは、データ流出への懸念の声があるがカードの中には薬剤や口座の情報は入っておらず、データも1つのサーバで管理されている訳ではないので、仕組みをしっかり伝えていくことが心配をなくすことに繋がるというご意見があり、高岡先生は、システムを使いこなせていないのが現状で、高齢者など情報弱者にどうアプローチするかを課題に挙げられました。─マイナカードやマイナ保険証にはどのようなことが期待されているのでしょうか。内藤 吉田先生から、先進国の中で国民IDと医療情報が紐付けられていなかったのは日本だけだったが、事務職員の業務負担軽減にも繋がるのでマイナ保険証の74

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