KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年4月号
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ファンの対応も違うと聞いています。関東と関西の演劇ファンの〝差異〟を実際に舞台の上で感じてみたい。どう反応が違うのか、今から楽しみで…」と意欲を見せる。初挑戦ながら、ノーベル文学賞作家、ペーター・ハントケ作、渡辺謙主演の舞台「ピサロ」などを手掛けた名匠、ウィル・タケットの演出という〝大舞台〟が用意された。そこで堂々の座長を張ることになったのだから、新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第29回は俳優、寛一郎(かんいちろう)さん。文・戸津井 康之初挑戦にして〝最後の舞台〟と覚悟…俳優としての岐路を予感THESTORYBEGINS-vol.29■俳優■寛一郎さん⊘ 物語が始まる ⊘大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源頼家の息子、公暁役に抜擢。その鬼気迫る演技が話題を呼び、人気が全国区にブレーク。映画やドラマへのオファーは絶えないが、「実は舞台で演じること自体が初めての経験なんですよ」と明かす。先月、東京公演を終え、今月9日に大阪公演が迫った舞台「カスパー」で初主演に挑んでいる。「舞台では地域ごとに演劇新たなハードル「台本を読んで、この芝居は映画やドラマなど映像ではなく舞台でしか表現できない世界だと思いました。〝最初で最後〟の覚悟でこの舞台に臨むつもりです」今、勢いに乗る旬の若手俳優、寛一郎さんは表情を引き締め、決意表明のように、こう語り始めた。昨年、国民的人気のNHK22

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