KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年4月号
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ポルシェとメルセデスは機能美だね。見た目のデザイン重視でそこに中身を合わせるのって、車として本末転倒だと思う。 今でもマニュアル車を運転したくなるよ。急減速するときが全然違うから。そんなにとばさないけどね。運転が楽しかった。 電気自動車になったらどうなるんだろうね。夜中に六甲の山道を走ってて突然動かなくなったらとか、もっと山奥で携帯も圏外だったらとか考えちゃう。meme やっぱり故障の話に戻っちゃいました(笑)。車中での思い出もたくさんおありでしょうね。松 本 昔の話になるけど、細野さんと2人で車に乗る時は、FEN(ファー・イースト・ネットワーク)、在日米軍向けのラジオを聴いてた。当時、アメリカの最新の曲が聴けたから。はっぴいえんどの前からだね。まだ2人とも家の車を借りて乗ってた頃。細野さんはブルーバード、僕はコロナ。やっぱりトヨタだね(笑)。この前亡くなっちゃったバート・バカラックの曲なんかはFENで聴いてたと思う。この曲はいいねとか、この曲のココがカッコイイとか、BGMっていうよりちょっとまじめに聴いてたよね。meme 先日番組に「ドラムを始めたいんだけど、ドラムがカッコイイ曲やバンドを教えて」ってお便りがきたんです。どう答えます?松 本 ドラムとベースって、縁の下の力持ち的なポジションなのね。あまり出すぎないのがいいと僕は思うんだけどね。 出すぎちゃった人がジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン)。いい意味でね(笑)。上手すぎて目立っちゃう。このバンドは他の楽器も上手いんだけど、ドラムが余計に引き立ってしまう。なんかわからない(笑)。ジョンの死後、バンドは解散してしまうんだけど、彼でないとツェッペリンの音楽にはならなかったんだよね。 それから僕が好きなのは、リンゴ・スター(ビートルズ)とチャーリー・ワッツ(ローリング・ストーンズ)。この2人の共通点はオリジナルのグルーヴをもってるところ。2人の独特のグルーヴは、一生懸命練習したけど真似できなかった。チャーリーは、“普通”のリズムほどオリジナル。簡単な頭打ち、タッ、タッ、タッ、タッ。初心者にもできるリズムなのに彼にしか叩けない。どんなに練習したって真似できない。テクニックじゃないからね。ストーンズもドラムがチャーリーだからストーンズだったんだと思う。 ミッチ・ミッチェル(ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス)もよかった。“ジミヘン”ね。最後まで一緒にいて彼の音を支えたドラマー。レッキング・クルーのハル・ブレインもいい。テクニックは一番なんじゃないかな。重さも軽さも明るさも暗さもどんな音も表現できちゃう。あの時代のヒット曲の大半は彼が叩いていたわけだから。meme ドラムの音に注目して聴いてみます。松 本 僕が初めてカッコイイと思ったドラムは、デイヴ・クラーク・ファイヴ『グラッド・オール・オーヴァー』。今でもカッコイイと思う。UKチャート1位だったビートルズをひっくり返しちゃったんだから。サイモン&ガーファンクル『アメリカ』とか、だいぶ昔の曲だけどカッコイイ曲はいっぱいあるよね。〜携帯で『アメリカ』を聴いてる〜うん、カッコイイ。21

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