KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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今と未来に価値ある靴独自のカッティングやフォルムなど、鈴木氏がつくる靴はオーラがある。「一番心掛けているのは履き心地です。時間をかけて足に馴染ませるのではなく、最初から快適に。見栄えが良いからといって足が痛くなるようなデザインでは、靴としての正しいあり方を損なっていると思う」。めざすのは、100年後まで残る靴。「私がこの世から居なくなっても、“スピーゴラの靴っていいね”と、皆の心に残っていく作品を作りたい」。耐久性のスペックだけではない。愛着を持って履き続けてもらえる魅力づくりが大切。だからこそ常に新境地を模索し、努力し続けるのだと。日本はもちろん、NYや香港など海外にも熱烈なファンを持つ。トランクショーで出会う多くの外国人が東京同様、神戸のことも知っていることに驚いたという。「実は30歳後半まで東京へ進出するか迷っていたのですが、今では神戸に工房を構えてよかったと思う。人が集まる東京は常にテンションを張り詰めていなければならず、キツイ」と笑う。モノづくりには“休むこと”も大事。アウトドア好きなこともあり、自然が身近で心休める環境がある神戸への愛着が年々深まってきているそう。「神戸産の靴をもっと多くの人に履いてほしい。それぞれが自分にとっての“理想の靴”を思い浮かべ、発見してほしいですね」。鈴木氏が言う通り、さまざまな靴の選択肢がある神戸で、目的や装いにあわせて“理想の靴”を選ぶ楽しみを。靴職人や店の人と対話して、新しい靴と新たなシューズライフを見つける時間を持ってみてはいかがだろう。イルチュアのミュージアムカーフを使用したスリッポン。ハンドソーンのステッチに高い技術が伺えるエレガントさが冴えわたるシングルモンク。背筋を伸ばして履きたくなる美しい佇まい2階から見た1階の工房。鈴木氏と共に鈴木氏の弟さんやお弟子さんが靴づくりに励む靴の町、神戸・長田にあるアトリエ兼店舗SPIGOLA神戸市長田区細田町5-2-16078-641-134310:00~19:00日曜定休ビスポーク:¥385,000~、もう少し気軽にトライできるパターンオーダー:¥198,000~、プレタポルテ:¥98,000~も用意67

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