それぞれの理想の一足ビスポークの良さは?「スピーゴラ」の鈴木幸次氏が質問に答えてくれた。「靴に求める価値は人それぞれで違います。履き心地や実用性を求める人もいれば、見栄えやオリジナリティを重視する人もいて、各々のベクトルで理想の靴を注文できるのがオーダーメイドのいいところ」。be spokenの語源が示す通り、職人が注文主と会話を重ね、理想とする靴を作り上げる。最初から仕様が決まっている既製品と違い、こだわりをカタチにしていく、そのモノづくりの過程を含めて満足を感じてもらえることが、ビスポークの魅力と鈴木氏は言う。ハンドメイドに惚れる鈴木氏がビスポーク靴を知ったのは、26年前のイタリアへの渡航がきっかけだ。そこで靴職人のロベルト・ウゴリーニ氏と出会い、氏がつくる手縫い靴を目のあたりにして衝撃を受ける。自身が技術を磨いてきた長田では分業制の工場生産がメイン。「靴を手で一からつくりあげる発想がなかった」。フルハンドメイドの靴づくりに興味を持った鈴木氏は、ウゴリーニ氏に弟子入り。師匠からは靴づくりの技術と顧客のために諦めない情熱を、そして地元イタリアの伊達男達からは粋なセンスも吸収。3年の修業を経て2001年に帰国し、自らのビスポークブランドを始動。口コミで話題となり、神戸から全国へと人気が広がっていった。~100年後まで残したい、 メイド・イン・KOBEの逸品~ビスポークと呼ばれる完全注文靴のスペシャリストが神戸・長田に存在する。日本におけるビスポークの第一人者で、世界各国にファンを持つビスポーク靴ブランド「SPIGOLA」。その代表で靴職人の鈴木幸次氏にオーダーメイド革靴の魅力を聞いた。工房に用意されたビスポークのサンプルSスピーゴラPIGOLA代表 鈴木 幸次氏【プロフィール】1976年神戸市生まれ。神戸・長田の婦人靴パタンナーの父親のもとで腕を磨き、22歳の時に自身のパターンオーダーブランドを作りたいとイタリアへ。フィレンツェでウゴリーニ氏と出会ったことで、手縫い靴の製作へ転向を決意、同氏に師事。2001年に帰国し、地元長田で「SPIGOLA」を設立。神戸からビスポーク界を牽引し、今や国内のみならず海外でも高い評価を得る対話から生まれる靴Kobe Shoes66
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