KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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演〟でもあるのです」今年は、昨年の約900人を上回る約1200人の観客の前で〝戦う〟ことが決まった。 「1回目はとにかくやってみなければ分からない。そんな部分もありましたが、2回目はそれは許されません。2回目の方が緊張していますよ。このまま3回、4回と続けて開催できるのか…。それが問われますからね」東西3人による〝火花を散らす競演〟は、さらに熾烈さを増しそうだ。弟子入りするが、「小学生の頃から父の寄席には通っていましたし、父の落語を録音したカセットテープを幼い頃からずっと聞いていました」と、落語家になるための準備はずっと続けていたのだ。新たな挑戦「花火大会などで『た~まや~』という掛け声があるでしょう。これは玉屋という屋号から来ていて、もう一つ『鍵屋』という屋号を持つ花火屋が江戸時代にいたのです。花火大会で玉屋と鍵屋が花火を打ち上げるとき。それぞれひいきにしている観客が、『たーまや~』、『かーぎや~』と掛け声を出して応援していたんですよ」この江戸時代の花火大会と三人噺は似てはいないか―と言う。「三人がそれぞれの落語を同じ場所、同じ観客の前で披露する。それはまさに火花を散らすような戦いではないか…。三人噺は共演であり〝競父である二代目春蝶を意識した言葉でもあるだろうか。落語家の枠を超え、テレビやラジオなどでも人気スターだった二代目春蝶を父に持つプレッシャーと戦い続けてきた。それは、物心ついた幼い頃から、そして落語家として活躍する今も変わらないという。「小学生の頃から落語家に憧れていましたが、なかなか父には言えませんでした。やはり父が偉大過ぎたから…」将来の進路を問われ、「保育士になろう」と思っていた高校三年生のときに転機は訪れる。父が51歳の若さで急逝したのだ。「お通夜のときです。つらいとき、悲しいときにあなたのお父さんの落語でどれだけ元気づけられたか…。集まった人たちからそう聞かされるうちに、どれだけ父に近づけるかは分からないが、自分が跡を継がなければいけない。落語家になるしかない。そう覚悟を決めていました」19歳で三代目桂春団治に『春蝶・吉弥と一之輔 三人噺2023』日時:2023年4月28日(金) 18:00開演会場:大阪市中央公会堂料金:全席指定 5,500円/全席指定(手ぬぐい付き) 6,500円※未就学児入場不可問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-88824

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