KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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山もつ生活をしてください。そんな入口が「満満腹腹満腹」展になればと思います。この展覧会については、横尾忠則現代美術館が発信しているHPを見てください。そこには、学芸員の苦労話が面白おかしく掲載されています。学芸員も最初はコチコチだったのですが、10年も経つと軟体動物みたいにフニャフニャの肉体と精神になって、逆に作家の僕より暴走することがあります。暴走というのは遊びのことです。遊びのできない人生は生きる価値がありません。当館の学芸員は、いい意味も悪い意味も関係なく遊びの天才集団です。美術、芸術は何もムズカシイものでもカタイものでもありません。精神を軟体動物にしてくれます。まあ、頭もお腹も空っぽにしてぜひ当館に遊びに来てください。間違いなく皆様の満腹に期待できると思います。では、また来月!は、僕の86年の魂の遍歴が、言葉を越えて、言葉にならないものを語っています。言葉になるものは知性です。知性も必要ですが、もっとそれ以上に必要なのは言葉でも語れない霊性です。霊性とは魂の声です。絵は知識や思想を越えています。知識や思想はいくら頑張っても神にはなりません。神を内在しているのは芸術作品です。だから芸術は人生の必需品です。芸術に触れる時間をできるだけ沢「横尾忠則展 満満腹腹満腹」会場風景美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。令和2年度 東京都名誉都民顕彰ほか受賞・受章多数。2022年3月に小説「原郷の森」(文藝春秋社)が刊行された。横尾忠則現代美術館にて「満満腹腹満腹」展開催中(〜5月7日)横尾忠則現代美術館17

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