KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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す。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」などはその典型的な例です。そして大勢の人々の想念をうけた作品は、今度は人格をもち始めます。観る人は、その作品のもつ人格にとりつかれるのです。芸術が色んな人に様々な影響を与えるということはそういうことです。小説と違って、絵は頭で見たり考えたりするものではありません。小説は頭の作用ですが、絵は肉体の作用です。だから、絵は観る人の魂に語り掛け、その人を大きく成長させたり向上させたりします。そう思って作品と対峙してください。そういう意味では、絵は宗教的な力があります。小説は観念の世界で思想的な影響はあるかも知れませんが、絵は魂という人間の本性に語りかけます。そこが宗教的なのかも知れません。滝に打たれたり、座禅をしたり、お経をあげたり、写経をしなくても、絵をジッと眺めるだけで魂を悟らせます。だからできるだけ絵と対峙する時間を長く持ってください。今回の「満満腹腹満腹」展「横尾忠則展 満満腹腹満腹」会場風景16

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