KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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うことではないでしょうか。作品が完成(または未完)するということは、この現世の死を経験したあと、あの世で再び生まれるということかもしれません。作家の手を離れた瞬間、作品はいったん死んで、そして、死と同横尾忠則展 満満腹腹満腹 2023.01.28 sat.〜2023.05.07 sun.時に生きかえるのです。つまり死という異次元で作品は生き始めるのです。ですから、皆様は展覧会場で作品の幽霊を見ているのです。幽霊というのは執念のかたまりです。作家がキャンバスに塗りこめた執念、怖い言い方をすると怨念です。キャンバスの中には様々な恨みつらみが生息しています。怖いんですよ、作品というのは。時には作品が観る人にとりつきます。また大勢の人にとりついた作品ほど名画になりま15

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