KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
127/136

指定無形文化財(三川内焼 細工技術)保持者に認定された嘉久房窯(かくふさがま)の十四代平戸悦山(今村均氏)のギャラリーには、天皇陛下御即位を祝し献上された「菊花虫かご」と同時期に制作されたものが展示してある。細さ2ミリのひご1本1本はもちろん、成形から焼き上げまでの全ての収縮を目算して一体で焼き上げた、一貫製作された超絶技巧の逸品だ。他にも人形の首が回り舌を出す仕掛けの「舌出三番叟人形」は一子相伝の世界でも類を見ない技術で制作されている。酒器やコーヒーカップなどは、手に取ると軽さと薄さにきっと驚くことだろう。1つ数万円するが、ぜひ購入してその口当たりの良さを体験してみたい。平戸洸祥団右ヱ門窯(ひらどこうしょうだんうえもんがま)は、平戸藩御用窯が開窯した当時の陶工を祖とする直系の窯元で、現当主の中里太陽氏は十八代目になる。三川内焼の薄さや長崎県・佐世保市無形文化財指定の平戸菊花飾細工技法や平戸置上技法、繊細な染付といった伝統技法を守り続けている。併設の展示販売所で菊花飾の装飾品や日用食器などを販売。昨今はネットショップを開設し、SNS発信にも力を入れている。窯元は不定休が多く、事前に連絡してから訪問するのがいいだろう。訪れれば、輝く白磁と繊細な技巧に圧倒されること疑いない。GW(5月1日から5日)には「三川内焼窯元はまぜん祭り」が開かれ、お得に買い物ができる。1泊2日で楽しむ佐世保旅。行く価値ある候補地に加えてみてはいかがだろう。詳しくは、「させぼ・おぢかの観光情報サイト 海風の国」を参照いただきたい。写真・文 塚本隆司佐世保観光情報センターTEL,0956-22-6630嘉久房窯 十四代平戸悦山「菊花 虫かご」平戸洸祥団右ヱ門窯 平戸菊花飾細工127

元のページ  ../index.html#127

このブックを見る