KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年3月号
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軍兵士が食べるステーキを日本人の口に合うようにアレンジされた料理だ。特徴は、薄切り肉とレモン風味であっさり仕上げた醤油ベースの甘辛いタレ。熱々の鉄板に、タレを回しかければ、ジューと沸き立つ蒸気とともに食欲をそそる香りが広がる。佐世保の人に聞いた食べ方は、ご飯を肉で包むようにして食べ、残ったご飯は鉄板の上にオンしてタレを絡めるとか。特徴的なタレの風味から、誰とはなく始めたに違いない。佐世保の魅力は、その成り立ちにありそうだ。人当たりの良さや話し好きが多いところも関係していると思える。小さな半農半漁の村だった佐世保は、明治19年に鎮守府(旧日本海軍の拠点となる高等司令部)を設置することが決まり、軍港として発展していく。現在も海上自衛隊佐世保地方隊の拠点であり、アメリカ海軍の基地もある。旧海軍関連遺産も周辺に数多く残り、佐世保港をガイド付きで遊覧する「SASEBO軍港クルーズ」が人気だ。まち歩きなら「とんねる横丁」をおすすめしたい。場所はJR佐世保駅から徒歩5分ほどの中心街。すぐ近くに、屋根続きのアーケードでは日本一長い商店街「さるくシティ4〇3アーケード」(四ヶ町と玉屋デパートの〇(丸)と三ヶ町にまたがる商店街の総称)があり、駅周辺を含め旅の宿となるホテルもこの辺りに集中している。とんねる横丁だが、空襲の危険が高まる戦時中、防空壕の掘削命令があり、各所で市民の手により防空壕が堀られた。実際に大規模な空襲に見舞われ多くの犠牲が出たが、防空壕のおかげで助かった人も多くいた。その後、防空壕で暮らし、商売を始める者が出始める。紆余曲折を経て市民の市場に発展し、とんねる横丁が生まれた。「四軒目食堂」は、戦時中に掘られた防空壕跡で60年余り営業を続けている。奥の小上がりの小窓を開ければ、防空壕の岩肌だ。創業時から引き継がれてきた手製のおでん鍋は今も現役。長崎名物の練り物などが入ったアゴだしベースのおでんのうまいこと。今では、常連客に加え観光客も訪れる有名店として知られている。佐世保の夜は、奥が深い。アーケード街からそれれば飲食店街が広がり、独特の雰囲気がある。店内に大きな水槽をもつ「庶民の料亭ささいずみ」でとんねる横丁にある「四軒目食堂」の店内三川内焼に盛られたコース料理(一部)125

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