KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年2月号
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いるのです。被災地に入れば医療者をはじめ現地の人たちに寄り添った対応やアドバイスをするのがDMATだと思っています。やはり「オレに任せろ!」ではないかもしれませんね。―救急医としてやりがいを感じるときは?専門の先生方に患者さんの状態を説明し、診断の根拠を話し、分からないことは「教えてください」とお願いします。そうするうちに「宮﨑先生がそう言うのなら」と信頼していただけるようになったときは嬉しいですね。私が一生かかって経験を積み勉強してもしきれないだろう自分の専門外の知識や考え方を、研究・臨床を重ねた先生方から学ばせていただける関係性を築けるのも救急医だからこそ。普通ならお話もできないような立派な先生方がとても優しく何でも教えてくださる。これは神大病院の魅力の一つだと思っています。宮﨑先生にしつもんQ.趣味やストレス解消法は?A.私は地味な人間ですし、正直、仕事、勉強、家事をしていたら趣味を楽しむ時間が残らないんです。今は家族と過ごしているときが一番楽しくて、幸せな時間です。Q.そして神戸大学に入られたのですね。A.高知の田舎育ちの私は大学に入って初めて神戸に出て来たとき「都会の人はなんて賢いんだろう!」と驚きました。私が10時間かけて勉強することを1時間で理解してしまうんです。だから難しいことは賢い人にお任せして、そのパワーをお借りして自分に出来ることをやればいいと考えるようになりました。ちょうど救急での自分の立ち位置だと思います。Q.救急を専門にされたのはなぜですか?A.重症患者さんを何とか救命をしたいという思いがあって集中治療の専門医を目指し、その前段階で救急の勉強をしました。麻酔科は全身管理ができとても大好きだったのですが、患者さんから病歴を聴取したり、診察をして推論をする診断学もやりたかったので幅広く患者さんを診られる救急科を選びましたQ.宮﨑先生はなぜ医学の道を志されたのですか?A.医学に興味があって、動物も好きなので獣医さんになろうと思っていました。でもやはり人と関り、患者さんが歩んできた人生や背景を考えながら病気で窮地に陥っている状況をちょっとでも良くして寿命を延ばしてあげられたら、きっとまたご家族といい時間を過ごせるようになるはずだと思い、お医者さんになろうと決めました。担任の先生に話したら「おまえの頭では絶対無理だ」と言われて悔しくて、猛勉強していると最終的に先生も応援してくれました。81

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