KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年2月号
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イルス系の病気は一年中あり、子どもさんのアデノウイルス感染症や冬は特にインフルエンザや感染性の胃腸炎も多いですね。―どの病院に搬送するかは救急隊員が判断するのですか。救急隊員が診療科リストの中から対応可能な病院を選んで連絡し、受け入れ可能かを確認します。大学病院には幅広く診療科が網羅されていて、夜間でもほぼ全科の先生がオンコールで待機されているので搬送先の第一候補になってしまうこともあります。先生方はとても優しく対応してくださるのですが、万が一に備えてゆっくり睡眠をとってもらいたいので可能な限り私たちで対処するようにしています。あごが外れた患者さんが1時間かけて搬送されてきたケースでは、歯科口腔外科の先生を起こすのも申し訳ないので私が診察して、処置10秒で終わりました(笑)。―「お断りする」ということはできないのですか。近所の病院で断られて困っている人を目の前で見てしまうと「助けてあげたい」と思ってしまって…。臓器移植など大手術後で大学病院がかかりつけという患者さんや専門性の高い対応が必要な患者さん、事故で重傷を負った患者さんなどを受け入れる使命が大学病院にはあります。軽症の患者さんでベッドが埋まり、マンパワーも取られるということがあってはならないので非常に難しい立ち位置にあるとは思いますね。―コロナの影響で神大病院でも救急医療が厳しい状況になっているのですか。現段階(1月16日)で既にひっ迫した状況になりつつあります。コロナ病床が展開されるとマンパワーがかかり、他のベッドが使えなくなり必然的に救急も受け入れられなくなります。コロナの疑いがある患者さんに対しては予防対策をして、隔離した部屋で処置しなくてはいけません。2部屋しかなく、埋まってしまうと3人目の患者さんが来られても断るしかありません。―宮﨑先生のお話を聞いていると救急医の「オレに任せろ」というイメージが変わってきました。地味なお話しかできなくてすみません(笑)。救急医は診断が付くまでの患者さんを安定化させ、適切なタイミングで適切な専門の先生に引き受けていただく橋渡し的な存在だと思っています。他科の先生方とうまくコミュニケーションを取ることが重要です。救命救急センターは救急医が支えているわけではなく、多くのスペシャリストの先生方の力をお借りして、看護師さんをはじめ多くのスタッフに支えられて成り立っていると思っています。―DMAT隊員でもあるのですね。ここでは「オレに任せろ!」ですか。DMATは災害が発生したら送り出してもらい、帰って来たら労をねぎらってもらえます。一方、チームを組んで動くので、減るマンパワーを残ったメンバーで補わなくてはいけません。先生方や看護師さんたちのサポートがあるから活動が成り立って80

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