KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年2月号
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映画を撮るようになったきっかけは?元々映画好きで、名古屋市立大学芸術工学部にて建築デザインを専攻しましたが、図面を作るより、プレゼンテーション用の映像を作る方が高評価だったんです。東京のCM制作会社で働いた後、ロンドンに留学。最初の1年はロンドンフィルムアカデミーに通いながら、学校課題の短編を何本か作りました。現地の俳優と共に作った15分の短編『Needlewood Antiques』(2006)が小津安二郎記念・蓼科高原映画祭短編グランプリに選ばれ、この作品で僕の映画監督としてのキャリアが始まりました。2008年にグランプリに輝いてから、本作に至るまでの経緯は?78分の作品を3日半で撮るという壮絶なプロジェクトに参加し、最低限の予算、スタッフ、キャストを確保しなければ物語が伝わらないことを痛感しました。本作の監督オファーを受けたのは2018年。山﨑歩プロデューサーが起業前に受けたセミナーの同席者が、セカンドキャリアで仲人型の結婚相談所を考えておられると聞き、興味を持ったのがそもそものきっかけだったそうです。そこから1年間はとことん取材をしました。脚本の松井香奈さんと一緒に取材をされたと?山﨑プロデューサーの方針で、最初から一緒に取材へ参加し、まずは数人の仲人を座談会方式で取材。色々なタイプがおられることを痛感し、紹介を頼りに次々と取材しました。また、劇中で登場するプロフィール交換会や、結婚相談所の元会員にも10人近く取材しました。僕は建築業界のプロモーションも作成していたので、物件選びと仲人たちのプロフィール交換が最初似ていると感じたことが、渡辺いっけいさんが演じる赤羽が冒頭に発した言葉に反映されています。赤羽がセクハラ発言を連発すると、結衣(松本若菜)が「ぜんぶセクハラですから!」と一括するやりとりは痛快です。取材帰りに松井さんと赤羽のキャラクターを考えたとき、仲人は女性が多いので、通常ではありえないようなタイプの男性というコンセプトが生まれ、昭和オヤジの赤羽が誕生しました。特に松井さんは赤羽へのこだわりが強く、男性がこれぐロンドン留学時の短編でキャリアスタート脚本家がこだわった昭和オヤジの赤羽27

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