KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年2月号
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部へ与える影響より、むしろ社会的機能を目的とするところにこそ、芸術の本流があるとしている。僕は自分の創作を社会への還元と考えたことがない。では、なぜ絵を描くのか、と問われた時は、それは人のためでも、社会のためでもない、絵に霊感を送ってくれた、その源泉のための奉納であると考えている。本展では、このような僕の気持ちがどれほど伝わったかわからない。ただ胸襟を開いて、感じるままを受け入れてもらえばそれで十分だと思う。な自己を得ることはできない。絵を描くということは、絵を描くことによって、一種の宗教的境地に達することである。しかし社会は、芸術の目的は他にあると考えている。簡単にいうと、芸術は社会的意識の変革を目的にしているところがある。宗教的という個人的な人間の内「横尾忠則 自我自損」展 会場風景「横尾忠則 自我自損」展 会場風景美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。令和2年度 東京都名誉都民顕彰ほか受賞・受章多数。2022年3月に小説「原郷の森」(文藝春秋社)が刊行された。横尾忠則現代美術館にて「満満腹腹満腹」展開催中(〜5月7日)横尾忠則現代美術館17

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