KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年1月号
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るといいなと思っていたので、それが明るいトーンのロードムービーとして反映されたと思います。すずめ、草太ほか、声のイメージがピッタリだと感じました。多くの方がオーディションに参加してくれましたが、不思議なことに、オーディションで「彼女が鈴芽なんだ」という人の声を聴いたらすぐにわかるんです。自分が描いたキャラクターの声なのですでにイメージしているのもあるかもしれませんが、親が大勢の中から自分の子どもを一瞬で見分けられるようなものだと思います。それから、キャストには作品に声をあてるだけでなく、役柄を背負って立ってほしいと思っています。物事の考え方やたたずまい、存在感なども含め、一体感が欲しい、と。作品の中に本人がでてくることはありませんが、結果的にはキャラクターに似た人を選んでいるのだと思います。今回の原菜乃華さんも松村北斗さんもまさにそうでした。映画が公開した現在のお気持ちを聞かせてください。公開ギリギリまで、つい最近まで必死で作っていたので…。コロナ禍に、海外では戦争まで起こり、暗闇の中で作り続けてきたような気がしています。だから、完成して外に出て陽の光を浴びた時、「世界ってまだあったんだ」と単純に思いました。作っている最中も家からスタジオまで通っていたし、外の世界は見てはいたのですが。不思議な感覚です。個人の力を越えた大きな災害や、個人ではどうすることもできないのに、しかし個人の運命を大きく変える出来事がます38

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