KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年1月号
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夢を表出したいたずら作品から、ルネ・マグリットの作品には江戸川乱歩の世界観を重ねて、横尾自身の物語と融合させて換骨奪胎してみせた、と平林は語る。僕の作品の傾向として、名画の一部を僕の作品の中に引用して、自分と他人の作品の境界線をあいまいにすることで、第3のビジョンを創造できないかと危険な挑戦を試みることがしばしばあるが、この行為はオリジナル信仰に対する批評でもある。次の第3章「伝統=創造=スーパー狂言」では、梅原猛さん原作、茂山狂言の皆さんのために制作した装束と美術などの資料約600点を10年ぶりに展覧会場で展示した。 社会を風刺する狂言の性質と環境破壊、クローン、核兵器といった現在進行形の問題を結び付けた作品を展示した。元々狂言はオリジナル衣装を作るようなことや美術装置はなく、あの能舞台が全てである。能や狂言は、余計なものを持ち込まない、全て想像の「人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展」会場風景20

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