KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年1月号
16/148

西岡常つねかず一(一九〇八―一九九五)は奈良斑いかるが鳩の堂宮大工。法隆寺の昭和大修理や薬師寺の伽がらん藍復興という難事業を成し遂げた名棟梁として知られています。修理工事は建築史や考古学、構造設計の専門家等が参加して方針を決定しますが、自らの考えと食い違うときには、学者に対してすら一歩も引かずに舌鋒鋭く反論するので「法隆寺に鬼がいる」と評されました。西岡棟梁を支えたのは現場から得られた知識でした。古材に残った刃物の痕や凹み、細かな寸法などを詳しく記録していたことが残された技術ノートからうかがえます。その知識をもとに復元設計も行っていました。展示しているのは法輪寺三重塔再建時(一九六八年)に西岡棟梁が自ら烏からすぐち口(昔のペン)で引いたものです。今日の大工叡智の彼方へ第四回棟梁の品格西岡常一の図面と道具常設展「棟梁に学ぶ」コーナー上:製図コーナー、右下には技術ノート下:西岡常一の道具と名言コーナー竹中大工道具館16

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る