奥窪 お薬、食事療法、運動療法が3本柱とのことですが、食事療法では誤解が多く、例えば摂取カロリーを減らすために朝食を抜くのは逆効果で、朝食はしっかり、夕食は軽めが基本。 また、スポーツドリンクにスティックシュガー約10本分の糖分が入っていると聞いて驚きました。治療にも予防にも糖尿病の正しい知識を土台とした血糖コントロールと、運動を取り入れた規則正しい生活習慣が大切なのだと感じました。─第2部はどのようなお話でしたか。奥窪 先ほどご紹介した「しめじ」の「め」=目の病気と、「じ」=腎臓の病気について掘り下げました。まず、兵庫県立西宮病院腎臓内科部長の藤井直彦先生に「静かに歩み寄る腎臓合併症~透析・腎不全を遠ざけるには~」というテーマでご講演いただきました。腎臓は体内の老廃物をろ過する大切な臓器ですが、血糖値が高い状態が続くと毛細血管でできている腎臓の糸球体が機能しなくなり、ろ過が─キノコと何か関係があるのですか。奥窪 そうではなく、糖尿病が引き起こす3大合併症、神経障害の「し」、網膜症、つまり目の病気の「め」、腎臓病の「じ」で「しめじ」、動脈にダメージを与えて発症する足えその「え」、脳梗塞の「の」、心筋梗塞の「き」で「えのき」というそうです(図2)。また、糖尿病になると新型コロナウイルスの重症化リスクが高まり、入院治療・人工呼吸・死亡のリスクは健康人の2.8倍にものぼるとのことです。─それは怖いですね。なぜ糖尿病になってしまうのでしょう。奥窪 インスリンを出す力が良くない、インスリンの効きが悪いという2つの要因が考えられますが、特に後者については生活習慣の影響が大きく、糖や脂肪の多い食事、運動不足、肥満であるほどインスリンは効きにくいそうです。─どのように治療するのでしょうか。できなくなるとのことです。悪化すると人工透析が必要となりますが、現在、透析患者は全国で約34万人にものぼり、その約4割が糖尿病性腎臓病だそうです。最近では新しい薬の登場で腎臓をより長持ちさせるような治療が身近になったそうですが、まずは腎臓の状態を把握し、早期診断・早期治療で早くブレーキをかけることが重要とのことです。─西宮市は腎臓病の予防で独自の取り組みがあるそうですね。奥窪 市医師会と医療機関が連携し、慢性腎臓病(CKD)患者さんを専門医に受診させる独自の仕組みの構築や、患者さんのお薬手帳へのシール貼付による副作用回避などの取り組みをおこなっています。─目の病気についてはどんなお話でしたか。奥窪 山縣眼科医院院長の山縣祥隆先生に「糖尿病によ る目の病気について」と題し、どうして目が見えなくなってい82
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