KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年12月号
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なと思います。オープンは進化に向けての第一歩―空港での常設展示と聞かれていかがでしたか。田中 普段は主に美術館で展覧会を行っていますが、それ以外の場所でも作品をいろいろな方に見ていただける機会がほしいと思っていました。ですので、空港という場所はそのような思いと一致していました。常設展示といっても自分の作品という以上に、より神戸寄りの視点が必要です。空港にはいろいろな所から人が来るので、神戸観光をより一層魅力的なものにできるんじゃないかなと。―神戸の街を隅々まで歩かれたのですか。田中 その街を知りすぎると、神戸を知らない方が見たときに見立てが伝わらないものになってしまいます。見立てというのは、皆が知っているものを知っている何かに変換すること。客観的に見るほうがいいので、神戸の印象的な部分をデフォルメして捉え、そこに神戸の方の意見を取り入れながら完成した作品です。見立てだからこそ、誰が見ても神戸らしさが伝わるようにしました。そこでポートアイランドがあったほうがいいといった神戸の方の意見を取り入れながら、たくさんの人に協力いただいて完成した作品です。―オープンして実際にご覧になられた感想は?矢崎 まずは嬉しかったですね。ただし今の段階で私たちと田中さんが構想している全体像の20~30パーセント程度しか完成していません。ここから進化していくための第一歩です。田中 3・2メートルの巨大ブロッコリーのオブジェ「ブロッツリー」は100点に近い出来で実現しました。他にも温めているアイデアはいっぱいあります。例えば、駐車場に並ぶ車の一つが靴だったら、乗って遊べる大きな人参で見立てた飛行機など、今回は実現しなかった、空港の中の空間を生かした見立てのアイデアがたくさんあります。地元の企業さんにご協力いただき話題にしていただければ、もっともっと楽しくなります。矢崎 面白そう。早くスポンサーが付かないかなあ(笑)。地元企業の協力で新たな作品を―たくさんの地元企業のパッケージも集まりましたね。矢崎 名の知れた会社や知る人ぞ知る会社、これだけの企業の集合体で神戸が成り立っていることを誇らしく思います。協力企業さんは空港会社さんや商工会議所さんが募集し、hitorigotoも協力させていただきました。今後はパッケージに限らず神戸で作られた小さなものを受け付ける専用の窓口を設けて、見立ての素材に使えるかをまず田中さんに見ていただくようにしたいと思っています。35

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