頭をひねって考えるだけ考えた結果のキュレイションは、それはそれで、なかなかの論理的な展覧会になるが、大衆は論理よりも感覚を優先する。学芸員の観念がそのまま展覧会の構成になっている展覧会は近年の傾向ではあるが、今回の平林のように、かつて体験した「パレット」を観念ではなく肉体という感覚によって直感した「パレット」展が、大衆の人気を呼ぶのも、そうした彼女の子どもでも感じそうな発想をそのまま、大真面目に美術館の広い空間に、展開させたということは、ある意味で学芸員に対する批評になっている気もする。従って大衆はそのキュレイションの本心に共鳴共感したのではないかと僕は思う。実際この展覧会にショックを受けたのは、他の館の学芸員だったのではないだろうか。本展をまだ12月25日まで開催しているので、地元・神戸の方々にもぜひ鑑賞していただいて、このプリミティブな発想の「パレット」展で、精神の遊びを堪能していただければ嬉しいと思う。「横尾さんのパレット」展会場写真16
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