KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年12月号
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あの実力派俳優も「鉄人28号」や「魔法使いサリー」など人気アニメの連載漫画の原作を手掛け、日本中の少年少女を熱狂させた漫画家、横山光輝。その勢いは止まる所を知らず、アニメや実写ドラマの原作の先駆者としての責務も担い、漫画の可能性を模索。次々と新たなジャンルを切り拓いていった。「伊賀の影丸」や実写ドラマ化される「仮面の忍者 赤影」などの忍者もの。人気アニメ「バビル2世」や特撮ドラマ化され、現在もロボットの模型が相次いで発売されている「ジャイアントロボ」などのSF漫画…とジャンルを問わずヒット作を繰り出していく。その中でもロボットもののパイオニアともいえる「鉄人28号」は、現在まで映画化やアニメ化、ドラマ化が度々繰り返されており、2005年にも実写映画化され、話題を呼んだ。このとき、鉄人28号を操縦する主人公の少年、金田正太郎を演じたのは、現在、若手実力派俳優として活躍する池松壮亮さんだった。3年前、映画「宮本から君へ」で主演した池松さんを取材した際、彼は「僕が初主演した映画が『鉄人28号』だったんですよ」と教えてくれた。彼は、金田少年を演じたいために一般公募のオーディションに参加。全国から集まった子役俳優らを含む約一万人の中から選ばれたシンデレラボーイだったのだ。「僕はまだ13歳でしたが、主演でしょう。撮影現場では、スタッフや共演者の人たちからちやほやされていたんです。僕が撮影現場で椅子に座っていると、スタッフの方が日傘をさしだしてくれる。現場にいた母はその光景を見て、僕を叱りつけました。〝ここでは、あなたが一番年下なのを忘れてはいけません!〟と。『鉄人28号』の現場で、僕は役者としての心構えができた。俳優の仕事の原点なんです」と苦笑しながら振り返っていた。ところで、なぜ、少年の名は金田正太郎だったのか?横山は、当時、大人気だったプロ野球界のスター、金田正一投横山光輝漫画で挑んだ飽くなき探究…故郷に刻んだ創作の魂神戸偉人伝外伝 ~知られざる偉業~㉜後編118

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