がかえって気持ちや生活を不安定にして、不眠や焦燥感、うつなどの気持ちの症状につながり、身体的な健康も害する結果に至ってしまうという、目的と結果が本末転倒になって悪循環が生じてしまうことが1番の境界線と言えます。例えばお酒を飲みすぎて気分が落ち込む、気分の落ち込みを紛らわそうとしてまたお酒を飲む、お酒が切れて眠れなくてまたお酒を飲む、だんだん頻度も量も増えていく。ギャンブルなら勝ったり負けたり楽しんでいたのに、結局できた借金の返済のためにより高額のお金を使って取り返そうとする、そしてさらに借金が膨らむというようなことです。―依存症を、気づかずに放っておくとどうなりますか?困ったことが起きないと気づかないこともあるのでは。そうですね。お酒にしてもギャンブルにしても「やめようと思えばいつでも止めることができる」とご本人は考えておられることが多いですし、生活に支障をきたしていることについて過小評価します。そばで見ているご家族も「お酒(ギャンブル)さえしなければ良い人だから」と問題を先送りしたり、そのうち自分でコントロールしてくれるだろうと期待したりします。早い段階で病院を受診される方は少なくて、多くの方はいよいよ仕事ができなくなったり内臓を壊したり、返済しきれない借金を繰り返したりするなどの破綻をきたしてから病院にかかることになるんですね。先ほどお話しした、本末転倒が悪循環に繋がってしまっているようなら、依存症の心配があります。―最近話題になっているゲーム依存はいかがでしょうか。同じような側面があります。ゲームは本質的に多くの人に面白いとか楽しいと思ってもらえるように作られているものですから、多くの人が面白いと思うしハマってしまいます。時には夜更かししたり休みの多くの時間をゲームに費やすことがあるかもしれません。けれどそれが高じて、朝も決まった時間に起きることができずに遅刻や欠席するようになったり、やるべき宿題ができなくなったり、食生活も不規則になったり、場合によっては途方もない金額を課金したりするなどの問題を生じることもしばしばあります。不安に感じることがあれば、専門医にご相談されることをお勧めします。次号につづく99
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