KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
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嬉しいけど見抜けるかなと逆にプレッシャーを感じました(笑) 今泉監督の恋愛群像劇はシーンごとの会話が見せ場ですが、静かに本を読んでいるような没入感がありました。長回しの芝居は、せっかく俳優陣の芝居が素晴らしくても、うまく見せるのが非常に難しいのですが、初めて四宮秀俊さん(『ドライブ・マイ・カー』撮影監督)に撮影していただき、場の緊張感が生まれました。四宮さんの力は大きいと思います。音楽も含め、トーンを抑えるのは怖いことでもあるのですが、クライマックスの先の展開も含めてこの作品には143分の尺が必要でした。文学的だとか、小説のような空気感だと言ってもらえるのは冥利につきます。『窓辺にて』(2022年 日本 143分)稲垣吾郎 中村ゆり 玉城ティナ 若葉竜也志田未来 松金よね子監督・脚本:今泉力哉音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ) 主題歌:スカート「窓辺にて」(ポニーキャニオン/IRORI Records) 制作プロダクション:Compass さざなみ 製作幹事:テレビ東京 ロータス・ワイズ・パートナーズ 配給:東京テアトル 2022年11月4日(金)全国ロードショー©2022「窓辺にて」製作委員会今泉 力哉(いまいずみ りきや)1981年福島県出身。映画監督。2010年『たまの映画』で商業監督デビュー。近年の主な監督作品に『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『mellow』『his』(20)など。2021年には『あの頃。』『街の上で』『かそけきサンカヨウ』と3作品を立て続けに公開。また、キングオブコント2021のオープニング映像、ドラマ「有村架純の撮休」や「時効警察はじめました」の演出を手がけるなど、映画以外にも活動の場を広げている。2022年は城定秀夫監督とのコラボレーションによる新たなプログラムピクチャー“L/R15”が始動。『猫は逃げた』(監督)、『愛なのに』(脚本)が公開中。text. 江口由美四宮秀俊のカメラワークが光る文学的な作品87

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