KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
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が、スポーツ事業部でゴルフウェアを担当していた時に、わたせさんと一緒に仕事がしたいと商品企画の企画書まで作られていました。実現はしませんでしたが、先輩の思いを引き継いで形にしたいと思ったのも理由のひとつです。企業タイアップができるか調べてみると、ゴルフ界では前例が無いうえ、過去にゴルフレッスンの本を書かれていて、師匠として登場するのが田原紘(たはら ひろし)プロ(2021年9月にご逝去)。わたせさんにゴルフ指導をされていました。初代ゼクシオの発売当初ゼクシオを使ってくれていた数少ないプロゴルファーでプロモーションビデオにも出演してもらったことがあり、ご縁を感じました。―今回の企画ではアニメーションまであって、すごく体感できますね最初に完成したメインイラストを社内で見せたところ、何かメッセージがあった方がこちらの意図が伝わるのではないかと、メインコピー、ボディテキストがつきました。漫画家・イラストレーターのわたせせいぞうさんとのコラボを思いついた訳です。―わたせさんとのいきさつを教えてくださいリブランディングの再始動に悩んでいた頃に出かけたのが、2021年9月に神戸阪急で開催されていた「わたせせいぞう展」。「これだ!」と思いました。わたせさんの世界観で「飛びやスコアだけではないゴルフの魅力」を描いてもらうと、どんな風になるのかなと。僕の青春時代は、わたせさんの漫画作品『ハートカクテル』全盛の時でした。高校・大学とボート部で、淀川の川縁の合宿所に寝泊まりし、早朝から練習をして朝ご飯を食べて大学に通うだけの生活が年間200日くらいありました。合宿における唯一の娯楽が青年誌で、週刊モーニングの連載で見ていた『ハートカクテル』は憧れの世界でした。それだけではないのです。僕より15歳くらい上でお世話になった先輩がいて、今はリタイアされ某ゴルフ場に再就職されました絵の世界観をわたせさんからお聞きし、それを文字にするのは我々サイド。ゴルファーマインドをよく理解していて、コピーが書けて、夜は神戸でバーを3時頃まで営業してそのまま早朝ゴルフに出かけるようなパワフルなクリエイティブ・ディレクターにご協力頂き、一緒に作り上げました。僕たちが伝えたかった世界観が、より伝わるようになったと思います。大切な仲間との語り合いや、スコアの話だけではなく誰とどのように時間を過ごしたか、笑顔が絶えない時間に仲間との絆を確かめ合う。コロナ禍でゴルファーが増えているのは、まさにそこで、密を避けて、体のコンタクトもないスポーツでありながら、人との繋がりを再確認できるという要素がゴルフにはあるのかなと。物語「はじまりの響き」は、ゼクシオの打球音につながるストーリーです。この話に登場する当社の道具に関しては、全て現物をわたせさんご自身があらゆる角度から見て緻密に書いてくださっています。クラブも過去のシーンは当時の物を、現在のシーンは82

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