KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
81/136

―住友ゴム工業さんの創業地は神戸、日本でのゴルフ発祥の地も神戸。何か縁を感じるのですが?住友ゴム工業の創業は1909年で、イギリスのタイヤメーカー、ダンロップ社の極東支店として、ここ神戸・春日野道に設立されました。最初は自転車のタイヤやチューブ、1913年から国産初の自動車用タイヤの生産を始めました。ゴルフはイギリス発祥のスポーツで、日本初のゴルフコースは1903年、六甲山の上に今もある神戸ゴルフ倶楽部が開業されました。道具はもちろんボールも海外から輸入していたのですが、1930年に国産初のゴルフボールとテニスボールの製造を神戸で始めたのがスポーツ事業のスタートになります。―ゼクシオは「日本で一番売れているゴルフクラブ」だそうですね。ゼクシオの発売前は、アメリカブランド商品の代理店契約を結んで販売していましたが、1990年代後半には「自分たちで日本支社を作って販売するから住友さんとは契約しません」と言われまして。そうなるといきなりビジネスがゼロになるどころか、一生懸命育てて大きくしたブランドがライバルになるわけです。震災とのダブルパンチでスポーツ事業を身売りするような話も囁かれるほどのピンチに、なんとかしなければと自分たちの意思でゼロから作りあげてきたブランドが「ゼクシオ」です。2000年にデビューしました。ゴルフクラブブランドは、ロングセラーでも2年1サイクルでモデルチェンジをして3代6年が寿命といわれていたのを、ゼクシオは2000年のデビューからずっとお客様の支持をいただいています。それは、新しさを出しつつもファンを裏切らないベーシックな物作りに向き合ってきたからだと思っています。社内の誰もが言うことですが「変えていいものと、変えちゃいけないものがある」ということ。最先端の素材を使って、より打ちやすく飛びやすくなるように、新しさを毎モデル追求していく一方で変えてはいけないものは、お客様が期待を寄せてくれる部分。ゼクシオという名前や基本機能コンセプトにつながる3つのキーワード「飛び」「打ちやすさ」「爽快な打球音」。ゼクシオが初代から変えずに残しているものです。―2019年秋にリブランディングされましたね。世の中これだけ変わっているんだから新しい価値を試そうと「飛びやスコアだけではないゴルフの魅力」を掲げリブランディングしました。今は価値観や趣味が多様化しています。ゴルフもセグウェイに乗って楽しんだり、ツーサム(2人でプレイするスタイル)だったり、ゼクシオも個人の多様なゴルフの楽しみ方「体験価値」を提案するブランドに生まれ変わるためです。2019年10月にリブランディングを発表し、ムービーなどで「楽しむことが上手い人になりたい」という世界観を打ち出しましたが、コロナ禍に入ってしまいブランドメッセージが十分に浸透することはありませんでした。今回、再出発にあたり、81

元のページ  ../index.html#81

このブックを見る