KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
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の食卓に並ぶまで、期間は約半年。全員が揃う活動日は月2回、けれどその日以外にも各々時間を見つけては畑に来るようになるとか。「育てていくうちに愛情みたいなものって生まれてくるんですよね。大雨や強風の日にふと気になったり。そうなると次の活動日を待たずに時間をみつけて確かめにくる」。もともと農業が好きな子だからなのでは?そう聞くと、「ここに来た動機はそうじゃない子も多いですよ。本人たちに聞いてみてください」と久保さん。学生たちのきっかけもそれぞれ蛙があちこちで跳ね回り極太のミミズも現れる畑の中、あちらでは話をしながら、こちらでは黙々と、各々が作業をすすめています。「畑をやっていた祖父が時々届けてくれた野菜は特別美味しかったんです。そのことを思い出して、今なら私にも作れるのかなと思って」とYさん。大学生になり、心にゆとりが生まれたのかも、と話は続きます。友だちと海に遊びに行く機会はあっても、山に行くことはほぼなく、畑を目にすることもなかった。それは農学部で学ぶAさんも同じ。「やりたい研究があって大学に入ったけど、実際、土にも畑にも触れることなく勉強していました。ふと、これでいいのかな」と気になり始めたとか。Aくんも農学部の学生。「“食”を仕事にしたいと思って農学部に入ったけど、農業のこと何も知らないなって」。参加してみてどう?と聞くとみんな同じ答え。「楽しい。気持ちいい」。野菜は畑で作られている野菜は毎日のように食べているというのに、どんなところでどんなふうに作られているのか知らない人は多い。それは学生だけでなく大人も同じこと。「それを知ったり思い出してもらうのが私たちの役割。農家さんが余計な心配なく栽培に向き合える社会にしたい」と小泉さん。YOUTH参加が2年目となるNさんは、畑への興味から食料自給率の問題などにも目が向くように。「海外で働くことを夢見ていたけれどこの数年叶わなかった。自分ができることから始めようと思うようになりました。まずはここの土(笑)」。確かに雨上がりのせいか、畑のあちこちがぬかるんでいる。理由を小泉さんに聞くと「こ36

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